婦人科疾患

 婦人科疾患である子宮、卵巣、乳房などの疾患の解説をしてあります。

 

☆子宮

〇子宮内膜症

 子宮内膜症は、成人女性の10人に1人が発症すると言われています。30〜40歳代に多いのですが、最近は20歳代でも見られるようになっています。この疾患は子宮内膜様の組織が子宮内壁以外で増殖し、そこで月経の度に出血を繰り返すという病気です。卵巣の内膜症は月経と同時に出血した血液が貯留してチョコレート嚢腫になり、卵巣がんの引き金の一つではないかとされています。腹腔内に発症した内膜症は腹腔内で増殖して、子宮や卵巣が腸と癒着してしまい、数年後には腸閉塞や腹腔内で大出血を引き起こすこともあります。
 早期の段階ではスプレキュアの点鼻薬などやボンゾールなどの内服で女性ホルモンの働きを抑制して、暫く月経が起きないようにして内膜症を縮小させるのです。しかし、卵巣や腹腔内の子宮内膜症は手術の適応になります。

〇子宮筋腫

 子宮筋腫は成人女性の4人に1人が発症すると言われるほど一般的な病気で、子宮の筋層に出来る良性の腫瘍です。発生する部位によって粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫の3つに分類されています。粘膜下筋腫は月経が1週間以上続いて経血量が多くなりがちで、鉄欠乏性貧血の原因の一つです。筋層内筋腫は一番発生頻度が高く、漿膜下筋腫は子宮の外側に出っ張るように出来たもので最も症状が少ないものです。
 筋腫の大きさ、部位や貧血の強さなどで手術するかどうかを決めますが、妊娠を希望するか、閉経まで何年かということも判断材料になります。閉経後は子宮筋腫も縮小するからです。

〇子宮頚がん

 30〜40歳代にかけて発症のピークがあります。本症はセックスによってヒトパピローマウイルスというイボをつくるウイルスに感染した場合、正常細胞が異型細胞(がんの前の状態)になり、この細胞に何らかの要因が加わるとがん化します。自覚症状はおりもの、セックス時の出血などです。住民検診でも子宮頚がんの検診が行われていますから、積極的に受診するようにして下さい。
 子宮頸がん予防のワクチンを一部自治体で公費負担をしていましたが、副作用の見直しなどで中止するところが増えています。 
 治療は手術です。

〇子宮体がん

 子宮体がんは我が国では頸がん、卵巣がんに続いて3番目に多く最近増加傾向にあります。閉経後の女性に発生することが多く、女性ホルモン(エストロゲン)療法を受けた人は発がんのリスクが高くなりますから、定期的ながん検診が必要になります。性器出血が殆どの例に見られるので早期発見・早期治療がしやすく、概して予後良好な疾患と考えられていますが、進行してしまったら予後不良になってしまいます。おりものや異常出血に気がついたら婦人科を受診して下さい。
 閉経後は子宮頸がんではなく、子宮体がんの検診を定期的に受けるようにして下さい。

☆卵巣

 卵巣は子宮の左右に一つずつあり、成人の親指の頭くらいの大きさの臓器です。エストロゲン(女性ホルモン)を分泌し、女性らしさを発揮させる臓器です。生殖年齢期には通常は左右交代で月に1回排卵します。

〇卵巣嚢腫

 卵巣嚢腫は卵巣に生じる嚢胞状の病変の総称で、腫瘍性のものも含んでいます。排卵期の卵子の周囲に水が溜まって卵巣が腫れて見える機能的なものから、奇形腫に分類されている歯や毛髪、脂肪を含んだ皮様(ひよう)嚢腫など色々な種類があります。下腹部の腫瘤や、茎捻転(嚢腫の根元が捩じれる)の激痛などで気付く場合もあります。

〇卵巣がん

 卵巣は何か異常が起きても初期に気付くことは殆どありません。卵巣がんが「サイレントキラー(沈黙のがん)」と呼ばれる所以です。早期発見の為には定期的に子宮がん検診時に診てもらうことがお勧めです。血液検査の腫瘍マーカーであるCA125も目安の一つとして用いられることがあります。

〇卵管炎

 性交渉などによって膣から細菌やクラミジアなどが入り込んで性感染症が起こり、その病原体が子宮頚管から卵管に感染して炎症が起こる疾患です。起炎菌はクラミジア・トラコマチスが多く、大腸菌、淋菌もあります。多くの場合、近くにある卵巣にも炎症が起こって卵巣炎を起こし、この両方の炎症を合わせて子宮付属器炎と言います。初期段階に十分な治療を受けずに慢性化すると、卵管が詰まって不妊症の原因となったり、骨盤内の腹膜まで炎症が広がって、骨盤腹膜炎になったりする危険もあります。
 原因となる病原菌の種類によって症状に違いがあります。クラミジアの場合はおりものの変化が少なく腹痛も激しくありません。症状が出た初期段階で病原菌を特定し、それに対する抗生物質の投与を受ければ自覚症状は治まりますが、完治するまで治療を続けないと慢性化してしいます。

☆膣

〇膣炎

 性交渉でカンジダなどの真菌、トリコモナスなどの原虫、梅毒を起こすスピロヘータ、細菌、ウイルスなどに感染して発病しますが、その他に、免疫抑制薬、ステロイド、多量の抗生物質による免疫力低下などが原因のこともあります。膣の壁の炎症や膣の分泌物の異常が起こり、淋菌感染症では膿状おりもので、トリコモナス感染症では泡沫状のおりものと外陰部掻痒感が主な症状です。カンジダは真菌の一種で膣に少しだけ常在していますが、著しく増殖すると白色~黄白色でチーズ様の特有なおりものが増え、外陰部や膣が発赤・腫脹を起こします。性器クラミジアは子宮頚管炎を起こし,しばしば卵管閉塞で不妊症になったり、子宮外妊娠の原因になったりしますが、自覚症状が軽いため、セックスパートナーに感染を起こし、慢性前立腺炎の原因にもなっています。
 治療は原因となる病原体を確認し、それに対する抗生物質を飲みながら、必要に応じて膣挿入錠を使います。また、セックスパートナーにも一緒に治療を受けて貰わないとお互いに感染しあってしまうピンポンゲームになってしまいます。

☆乳房

〇乳がん

 発病年齢は40~50歳代で、30歳代後半から急増して50歳代手前あたりにピークがあります。乳がんは自己検診をしやすく、早期発見をしやすいので定期的にチェックをして下さい。痛みを伴わないしこりが圧倒的に多いのですが、痛みを伴う場合もありますから、しこりに気が付いた場合は必ず専門医の診察を受けて下さい。動物性脂肪、乳製品などが好きな人、授乳経験がなかったり、授乳期間が短かったりした人に起こりやすいとされています。乳がん検診は触診だけでなく、マンモグラフィー、エコー検査などで行います。早期がんの場合は、がんだけを部分切除して乳房を温存する手術が一般的に行われるようになっていますから、美容上も安心です。

☆女性が若さを保つ食事

 ホルモンのバランスを保ち、自律神経のコントロールをよくすることが若さを保つ秘訣です。なんと言っても、ビタミン・ミネラルが基本です。また、コラーゲンも適度に摂ることは肌をつやつやに保つのに好ましいと思います。若い女性で昼はクロワッサンと野菜サラダですませる人を見受けますし、また、昼は軽い食事にしていて、3時のおやつとして御菓子で空腹を癒す人も多いようですが、続けているとホルモンのバランスを乱してしまいます。肉・魚・豆腐・納豆・枝豆などの動物性蛋白質・植物性蛋白質を半々くらいに召し上がるのが望ましいでしょう。