眼科疾患

 眼科の病気について、初歩的な解説をしてあります。

 

☆ドライアイ

 ドライアイは、角膜を保護するための涙の量が不足したり、涙の質が異なったりしてくることよって涙が均等に行きわたらなくなり、角膜に傷が生じる病気です。テレビやパソコンの画面を長時間見つめたり、エアコンなどの流れる空気に曝されたり、コンタクトレンズを使ったりすることに伴って増加してきています。重症のドライアイは、中年女性を中心に多く見られるシェーグレン症候群を伴っている場合があります。

 ヒアレインなどの角膜保護作用がある点眼薬などで対処します。

 

☆アレルギー性結膜炎

 眼の表面に花粉などのアレルギー反応を引き起こす物質(アレルゲン)が付着して、結膜に炎症を起こす病気です。花粉などが原因で特定の季節にのみ症状が現れる季節性アレルギー性結膜炎と、家の埃(ハウスダスト)などによって1年中続く通年性のものがあります。アレルギー体質の人は花粉など通常なら無視しても良いような物質を異物と認識して、免疫反応が起きてしまいます。

 体質改善の内服薬を服用しながら、抗アレルギー作用があるパタノールなどの点眼薬を併用します。

 

☆VDT症候群

 パソコンなどのディスプレイ(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)を使って長時間作業を続けることによって、眼や身体や心に影響がでる病気です。首や肩が凝る、腕が痛む、だるいなどの症状が起こり、慢性的になると、背中の痛みや手指のしびれなどいろいろな症状も出てきます。

 90分作業をしたら、10分程度中断して、トイレへ行ったり、遠くを見たり、ストレッチ体操をしたりするのが予防になります。また、作業中は視力が適正になるような眼鏡を使うのも眼精疲労の予防になります。

 ビタミンB12製剤のサンコバなどの点眼薬で症状が緩和されることもあります。

 

☆白内障

 水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病態です。水晶体とは、眼の中でカメラのレンズのようなはたらきをする組織で、外からの光を集めてピントを合わせるはたらきを持っています。通常は透明な組織ですが、加齢や紫外線などによって白く濁ってしまうため、物が霞んで見えるようになってしまいます。放置していると、文字も読みにくくなるので、読書習慣もなくなり精神的な活動性の低下が起こります。

 白内障の手術は、濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し、眼内レンズを入れるという方法で行われています。濁っていたレンズが透明になるので鮮やかに見えるようになります。また、眼内レンズの度数を選べますから、近視や遠視を調節することもできます。

 

☆緑内障

 緑内障は、眼圧が高くなることによって視神経に障害が起こり、視野が狭くなり、最悪の場合には失明することもあります。眼球の水晶体と角膜の間に前房水が流れています。前房水の産生が多い場合や排泄が適切にできない場合などに眼圧が高くなってしまいます。眼圧が高い状態が続くと視神経の乳頭陥凹状態になります。症状は、少しずつ見える範囲が狭くなっていきます。頻度が多いのは眼圧が正常範囲(10~20mmHg)ですが乳頭陥凹が起きている正常眼圧緑内障です。閉塞隅角緑内障というのは涙が流れ出る場所である隅角が狭くなって塞がれるため、眼圧が高くなります。

 緑内障の治療は視神経の障害を早期に食い止めるために眼圧を下げることが基本となります。点眼薬を使っても、視野の狭窄や欠損が進行する場合には、レーザーで房水の出口を開けたり、房水の逃げ道を作ったりする手術を行います。

 胃の検査をする前に用いる注射薬で緑内障の症状が悪くなる場合がありますから、胃レントゲン検査や内視鏡検査を受ける前に申し出て下さい。注射をしないで検査を受けることになります。

 

☆加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう)

 物を見るときにピントを合わせる黄斑部が、加齢とともに変性して視力の低下を引き起こす病気です。黄斑が変性すると、視力が低下したり、歪んで見えたりし、最終的に失明してしまう場合もあります。変性症には萎縮型と浸出型があります。萎縮型は網膜色素上皮が徐々に萎縮していき、網膜が障害され視力が徐々に低下していく病気です。滲出型は異常な血管が侵入して網膜が障害される病気です。異常な血管から血液成分が漏出すると網膜が腫れたり、網膜下に液体が溜まったりします。また、血管が破れると出血となり網膜を障害します。萎縮型は治療の必要ありませんが、滲出型に移行して急激に視力が低下することがあるので、定期的な検診が必要です。浸出型は新生血管を沈静化させる薬を硝子体内に注射したり、レーザーを照射して新生血管を破壊したりします。2014年9月に京都大学の山中伸弥教授たちが開発したi-PS細胞による治療が行われました。

 

☆網膜剥離(もうまくはくり)

 網膜剥離とは、眼球の内側にある網膜という膜が剥がれて、視力が低下する病気です。網膜の剥がれは痛みを伴わないため気付きにくいのですが、前兆として飛蚊症があらわれることがあります。また、網膜の中心部である黄斑部分まで剥がれた場合、急激に視力が低下し、失明に至るおそれもあります。

 網膜剥離は、加齢、糖尿病性網膜症、事故などによる眼球へ物理的ショックが加わった場合などが原因で引き起こされます。いずれも網膜の裂け目(網膜裂孔)が出来て網膜剥離が起きてきます。

 治療はレーザー療法で、裂け目の周囲の網膜とその下の組織を癒着させて、網膜が剥がれ難くします。すでに網膜剥離が認められる場合には、手術が必要になる場合があります。

 

☆糖尿病性網膜症

 糖尿病が原因で眼の中の網膜が障害を受け、視力が低下する病気です。糖尿病網膜症は、糖尿病腎症、糖尿病神経症と並んで、糖尿病の三大合併症といわれます。定期的な検診と早期の治療を行えば病気の進行を抑えることができますが、放置していると最悪の場合眼底出血が起こって失明してしまいます。

 網膜症の初期の段階では、自覚症状はありませんが、網膜の動脈に小出血などの異常が現れ、中期になると小出血斑が数か所現れ、網膜の白斑も多くなるため、はっきり見え難くなってきます。末期になると、視力低下が進行し、出血が黄斑にまで及ぶと失明に至ることもあります。

 糖尿病は内科的に血糖値、ヘモグロビンA1cなどを定期的に調べ、食事療法、運動療法を続け、必要に応じて内服薬やインスリン療法を続ける必要があります。糖尿病網膜症は完全に治すことのできない病気です。新生血管の発生を防ぐために、レーザー治療が行われます。