膠原病・自己免疫疾患

 細菌、ウイルス、外来異物、がん細胞などを攻撃して生体を外敵から守るのが免疫の働きですが、外来の異物を攻撃するだけでなく、自分の体の重要な構成成分(関節の滑膜、細胞内の核、DNAなど)を攻撃してしまうとんでもない病気があります。自分の体の成分を自分にとって有害物質であると誤った認識をして、その成分を排除しようとして攻撃するのです。その為、かなり体の変調を来してしまいます。この様な免疫異常は自己免疫疾患、膠原病などと呼ばれています。

 人の遺伝子構造(全ゲノム構造)が解明され、膠原病の免疫異常も遺伝子レベルで解明される時代になりました。慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)など膠原病の大部分が遺伝子レベルでの異常であることが明らかになってきました。慢性関節リウマチやクローン病では、病態のメカニズムに基づいた多種類の抗サイトカイン製剤により病態が劇的に改善するようになってきています。

 

☆全身性エリテマトーデス(SLE)

 頬などの露出部に特徴的な蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)が現れ、徐々に広がる膠原病の総称で、自己免疫異常は多岐に亘(わた)っています。発熱、全身倦怠感、体重減少、関節炎などが主ですが、心臓疾患、肺疾患、消化器疾患、血液疾患、腎疾患、精神疾患など種々の障害が現れることもあります。抗核抗体は全例陽性、抗DNA抗体は約8割で陽性です。他の自己免疫疾患と同じように、大多数が女性で、また、殆どは思春期以降の女性ホルモンを分泌している年代です。

 免疫機能が異常になってしまい、自分の細胞内の核や遺伝子であるDNAなどを攻撃してしまう免疫異常ですから、全身の臓器が障害されます。

 直射日光を避けるのがとても大事なことです。その他に、寒冷、感染症、手術、妊娠・出産、過労、ストレスなども症状を悪くする誘因です。

 治療は副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤を併用して、異常な免疫機能を抑制するのですが、副作用も多いので主治医と二人三脚で治療を続けることが必要です。

 

☆慢性関節リウマチ

 全身の関節の炎症を主体とする自己免疫疾患ですが、関節だけでなく他の臓器障害も伴う全身性の病気です。関節の炎症は一般に進行性で、中には機能障害を残さない軽症例から、関節の破壊、変形を来す重症例までさまざまです。関節症状以外に、疲れやすい、だるい、食欲がない、体重が減少する、微熱があるなどの自覚症状や、貧血、肺、心臓などの合併症を起こすこともあります。8割が女性で、40~50歳代から発症します。関節痛などは左右両側に現れるのが特徴です。

 又、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、徐々に悪化していきます。自分の関節の表面にある滑膜という部分を自分で攻撃して炎症を引き起こし、軟骨や骨までも破壊してしまう病態です。

 午前中に関節がこわばる、手・肘、足・膝など左右対称性に関節が腫れて痛む、皮下結節があるなどの症状と、X線検査やリウマチ因子、CRP、免疫グロブリンなどの血液検査を診断の指標にします。

 治療は異常に亢進してしまった免疫反応を抑制して、関節での病変が進行しないようにし、関節機能障害の進行を阻止することです。治療薬は抗リウマチ薬、非ステロイド性抗炎症薬、副腎皮質ホルモン薬、抗サイトカイン療法など何種類もあります。薬物療法を行っていても関節破壊が進んで、日常生活に支障が起きてしまった場合には外科的手術を行わなければならないこともあります。

 リハビリ療法には筋肉強化訓練、起立・歩行訓練、作業療法、リウマチ体操などがあります。関節が痛いからといって寝てばかりいては、関節が固まってしまい、却って日常生活に支障を来してしまいます。そのために、適度な運動を毎日続けることが大切です。調子がよい日も悪い日も行うのですが、痛みや腫れが強い日は、回数を少なめにし、自分の力で出来る範囲の運動を行うようにします。関節炎がある程度まで治まってきたら関節可動域と筋力を保つように、自分の力で出来る範囲の運動を行うようにします。寒さや冷たい水などは疼痛が強くなり、病気の進行を早めますから、各部屋を充分に暖房して、温かいお湯を使うようにして下さい。

 慢性関節リウマチでは、食べていけないものはありません。しかし、肥満は下半身の負担になりますから、過食は避け、標準体重を守ることが大切です。

 

☆多発性筋炎(皮膚筋炎)

 多発性筋炎は躯幹筋(体の筋肉)、四肢近位筋(手足で身体に近い部分の筋肉)、咽頭筋などの筋肉痛や脱力感が主な症状です。皮膚筋炎は筋症状に加え特徴的な皮膚症状を伴います。

 躯幹筋・四肢近位筋優位の筋力低下、筋痛、筋肉が壊れたときに高くなるCPKの上昇、全身性炎症所見、筋電図、筋生検などで診断します。

 治療は副腎皮質ホルモン薬で、必要に応じて免疫抑制薬を併用します。

 

☆シェーグレン症候群

 中年女性に多い涙腺、唾液腺が攻撃される臓器特異的な自己免疫疾患です。口腔乾燥、眼の乾燥、耳下腺の腫脹を繰り返すなどの症状が出ますが、甲状腺腫が起きることもあります。

 対症療法で治療をしますが、副腎皮質ホルモン薬を使うこともあります。

 

☆ベーチェット病

 主な症状は口腔内アフタ、皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍の4つが主な症状です。最初は口腔内にアフタが高率に現れます。下肢に結節性紅斑、血栓性静脈炎、毛嚢炎様皮疹などが現れることもあります。眼症状はぶどう膜に現れ、発症後1年以内に突然の視力低下、眼痛が起こります。陰部潰瘍は口腔内アフタと同じ病変が陰部に出現するもので、排尿時の疼痛として気付くことが多いようです。中枢神経病変は稀ですが、髄膜炎による頭痛で始まることもあります。

 消炎鎮痛薬、副腎皮質ホルモン、必要に応じて免疫抑制剤を使うこともあります。

 

☆サルコイドーシス

 両側肺門リンパ節、眼、皮膚、唾液腺、心臓などに結核によく似た “非乾酪性類上皮細胞肉芽腫”が出来る原因不明の病気です。20歳代から中年にかけて発病することも多く、初期には胸部レントゲンで両側肺門に蝶々のような陰影が見られることもありますが、病巣から採取した組織にこの肉芽種が存在すれば診断がつきます。原因は異常な免疫反応であろうと考えられています。

 予後良好な病気ですが、発症の仕方、障害臓器の分布はさまざまです。一部の症例では急性に発症したり、心臓や神経が障害されたりして治療が必要になることがあります。自然に改善する場合もありますが、副腎皮質ホルモン薬で症状を改善させ、肉芽腫形成を抑制します。

 

☆膠原病予防の食事

 免疫は胸腺、リンパ球、脾臓などが関わっている外敵から身を守るシステムです。免疫異常は遺伝子レベルの障害が原因であると明らかにされてきています。合成保存料、添加物などを含まない自然食品の方が遺伝子に対する悪影響も少ないと思います。

 栄養はバランスに気を付けて、偏った食事内容にならないような注意が必要です。

 牛乳、赤みの肉、青魚、白身魚などに多く含まれている良質の蛋白質にはトリプトファンが含まれています。トリプトファンは酵素の作用でセロトニンになり、更にアセチル基とメチル基が付いてメラトニンになります。メラトニンは松果体から分泌され、通常の睡眠・覚醒サイクルを調節しますが、その他に、免疫力を高める、がん細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞(NK細胞)を増やす、ウイルスを殺傷する食細胞の破壊力を高めるなど幅広い効能が報告されています。