血液疾患

 血液中の赤血球、白血球、血小板などの病気の説明をしてあります。

 

☆鉄欠乏性貧血

 血液中の赤血球にはヘモグロビンが含まれていて、酸素や炭酸ガスの運搬を担っています。ヘモグロビンは鉄を含んでいますが、鉄不足だとヘモグロビンを作れないので鉄欠乏性貧血になってしまいます。

 鉄欠乏性貧血の原因は偏食や胃切除後遺症の様に鉄分の摂取や吸収が低下して鉄の摂取が少ない場合、骨髄での造血機能が低下している場合、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、大腸ポリープ、大腸がん、月経過多、子宮筋腫、子宮がんなどによる出血量増加などが考えられます。高度の貧血が続いていると舌の乳頭萎縮、口角・口内炎、匙状爪等が見られるようになります。閉経後の女性や中高年の男性の鉄欠乏性貧血は何らかの重大な疾患が隠れていることが多いため、胃がんや大腸がんなどの消化器系疾患が原因かどうかの検査が必要な場合もあります。

 鉄の吸収を抑制するものにはタンニン酸、炭酸マグネシウム、胃酸分泌抑制薬(H2受容体阻害薬、プロトンポンプ阻害薬)などがあります。日本茶、紅茶はタンニン・鉄複合物を作り鉄の吸収を低下させますが、鉄剤の服用にはさほどの影響はないとされています。
疲れやすい、階段も休まないと登れない、少し動くと息切れがしてしまうなどの症状が続く場合は内科を受診して下さい。

 

☆悪性貧血

 血液中に巨赤芽球が出現する貧血は巨赤芽球性貧血で、主に悪性貧血に見られます。胃粘膜の萎縮により内因子の分泌不全が起こるためビタミンB12を吸収出来なくなってしまい、結果としてビタミンB12欠乏症となります。その結果、消化器症状や神経症状(亜急性脊髄連合変性症)が出現し、手足のしびれや舌の発赤や萎縮などが見られるようになります。治療はビタミンB12や葉酸を投与します。

 だるい、息切れがする、手足がしびれる、舌が変だなどと気になったら内科を受診して下さい。

 

☆再生不良性貧血

 何らかの原因で骨髄の造血幹細胞が減少し、造血能低下と白血球、赤血球、血小板などすべての細胞の減少を来す症候群です。原因は不明ですが、造血幹細胞に対する自己免疫疾患が考えられています。診断は血液検査の他に、骨髄穿刺、骨髄生検などで行います。軽症や中等度の場合は免疫抑制薬などを用いますが、中等度や重症例では輸血も必要になります。

 

☆二次性貧血

 二次性貧血は血液疾患以外の礎疾患が原因で起こる貧血の総称です。慢性感染症、悪性腫瘍、膠原病、腎疾患に伴う貧血などがあります。中高年者になると進行性の貧血では胃がん、大腸がんなどの悪性腫瘍が原因の場合もありますから、胃内視鏡、便潜血反応などの検査も必要です。また、腎性貧血の場合は腎臓でエリスロポエチンを作れないために貧血になっているため、エリスロポエチンを定期的に注射します。貧血が改善したら中止していて、また増悪したら注射を再開します。

 だるい、息切れがする、疲れやすいなどの症状が強くなるようでしたら、内科を受診して下さい。

 

☆顆粒球減少症(無顆粒球症)

 血液中の白血球の中で、顆粒を含んでいる細胞を顆粒球と言います。末梢血顆粒球が1,500/μL以下の場合を顆粒球減少症、500/μL以下の場合を無顆粒球症と定義しています。多くの原因は薬剤の副作用で、原因薬剤はクロロマイセチン(抗生物質)が最も多く、消炎鎮痛薬、メルカゾール(抗甲状腺薬)、抗不整脈薬、抗けいれん薬などがあります。発病した場合は原因薬を中止し、無菌室に入院し、抗生物質などの治療をすることになります。真菌感染症も起こりやすいので、その場合は抗真菌薬を用います。

 細菌感染の危険率が高く、口内炎、肛門周囲膿瘍、敗血症、肺炎などで重症になることが非常に多いため、38度以上の発熱、強い歯肉炎、喉の腫れ、頸部のリンパ腺の腫れなどの症状が出た時は、速やかに地域の基幹病院を受診して下さい。

 

☆本態性血小板血症

 血小板は出血した時、血管壁の傷や血管内に異物があるときに集まってきて傷口を糊のように覆ったり、塊を作ったりする性質があります。本疾患は骨髄増殖性疾患の1つで、骨髄巨核球・血小板系の過剰増殖の結果、血小板が著明に増加する疾患です。血小板数は通常は20万/μLくらいですが、100万以上まで増加することがあります。増加している血小板は幼弱で凝集能が弱いのですが、交通事故や外傷など、何らかの原因で凝血機転が亢進した場合、血栓症や播種性血管内凝固症候群(DIC)[本来は出血個所内だけで生じるべき血管凝固反応が、全身の血管内で無秩序に起こる症候群で早期の診断と治療が必要な重篤な状態]等を引き起こすことが懸念されます。30~50万程度までの増加は、血栓症の合併が懸念される場合以外は経過観察でよいとされていますが、50万以上に増加している場合はアスピリン製剤、プラビックスなどの抗血小板薬などを用います。進行が高度の場合はハイドレアなどの骨髄機能抑制薬を用いることもあります。

 健康診断などで血小板数が50万/μL以上という結果の場合は血液内科などの専門医を受診して相談して下さい。

 

☆特発性血小板減少性紫斑病

 明らかな原因や基礎疾患が認められない血小板減少症で、皮膚や粘膜などに紫斑、血腫をはじめ、種々の出血症状を来す疾患です。急性型は主に小児に起こり、ウイルス感染性疾患の後に発症することが多く、概ね6ヶ月以内に治癒します。

 紫斑、血腫、出血斑などが気になる場合は、小児科または内科を受診して下さい。