腎臓疾患

 腎臓は血液を濾過して身体に要らなくなった老廃物を尿中へ排泄し、血液をいつもきれいな状態に保つという働きをしています。腎機能が低下すると血液中に排泄しきれなかった老廃物が溜まってしまいます。身体に必要な血液やたん白は尿中に捨ててはいけないものですが、それらが尿検査で検出されるのは腎機能障害があることを示しています。腎疾患は糖尿病や溶連菌感染症、動脈硬化など多くの因子が関係しています。

 

☆急性腎炎症候群

 急性腎炎症候群は血尿(尿中に血液がある)、蛋白尿(尿中に蛋白がある)などの症状で急性に発症する腎炎症候群で、しばしば高血圧、浮腫、腎機能障害を伴います。

1)急性糸球体腎炎

 この病気は主にA群β溶血連鎖球菌に感染した後に咽頭炎、喉頭炎、扁桃腺炎などの症状に引き続いて起こります。急性糸球体腎炎のなかで、溶連菌との関連が確実なものを溶連菌感染後急性糸球体腎炎といいます。慢性化することは少なくて、予後は良好な病気です。

2))Ig A腎症

原因は不明で細菌、ウイルス、食物の高原などが原因ではないかとされています。Ig Aは免疫グロブリン(抗体)Aの略称で、この抗体は粘膜を外敵から守っています。この防御が弱いと、粘膜に感染した病原体の一部とIg Aが免疫複合体を作って腎臓に沈着し、それが腎臓組織を徐々に破壊します。急性腎炎は血尿、浮腫、高血圧が主な症状で、原則として入院治療をします。

☆慢性腎炎

 血液やたん白が慢性に長期間尿中に排泄されている状態を広い意味で慢性腎炎と言いますが、腎機能の低下(尿素窒素、クレアチニンなどの上昇)が長期にわたってみられず尿異常以外の所見が少ないものを無症候性蛋白尿・血尿症候群としています。慢性腎炎の中でも高血圧を伴い徐々にゆっくり腎機能が低下するものを慢性腎炎症候群としています。また、血尿だけが続いている場合には、腎炎以外にも腎臓・膀胱のがんや尿路結石があるかどうかの検査が必要になります。

 

☆ネフローゼ症候群

 ネフローゼ症候群は、高度のたん白尿、低蛋白血症、脂質異常症、浮腫などが現れる症候群です。1日に排泄される尿中の蛋白量が3.5gを超えると、蛋白喪失による低アルブミン血症が起こります。

 対症療法として減塩・水分制限、利尿薬などの他に、アルブミン製剤などを用いることがあります。

 

☆腎盂腎炎

 腎盂腎炎は腎盂および腎実質の細菌感染症です。急性腎盂腎炎は女性に多く、膀胱炎をきちんと治療をしていなかった場合、細菌が尿管をさかのぼって腎盂までたどり着いて繁殖してしまった状態です。悪寒戦慄を伴う発熱、食欲不振、全身痛、腰痛などが起こります。慢性腎盂腎炎は尿路結石、尿路奇形などの基礎疾患を持っていることが多く、炎症を繰り返すことで腎盂の変形を来すことも多いようです。尿検査などで診断します。

 原則として入院治療をします。膀胱炎の段階で治療をしておけばよかったのが、細菌が尿管をさかのぼって腎臓まで来てしまった状態なので、完治するまでに時間が掛かることが予想されます。主な起炎菌は大腸菌ですが、尿培養で確認し、有効な抗生物質を用います。

 

☆腎硬化症

 良性腎硬化症は本態性高血圧症によって高血圧が長期間続いた結果起こる腎血管病変です。悪性腎硬化症は悪性高血圧によって急激な高血圧の上昇が続くことにより引き起こされる腎臓内の動脈と糸球体の病変です。悪性高血圧症は高血圧のうち最も重症なもので、眼底の乳頭浮腫や出血、急激な腎機能障害を引き起こしたりしてしまいます。

 予防には高血圧の治療が重要です。血圧を収縮期血圧が140mmHg以下、拡張期血圧が90mmHg以下に保つように、塩分を6-8g/日とし、有酸素運動をしたりして生活習慣を正しくします。

 

☆腎不全

 急性腎不全は、急激な糸球体濾過値の低下により短期間のうちに尿毒症に陥る症候群で、慢性腎不全は慢性の腎障害により徐々に腎機能が低下した状態です。原因疾患としては糖尿病(40%)、慢性糸球体腎炎(30%)と報告されていて、腎透析を受ける原因のトップは糖尿病です。糖尿病は血糖値の管理を続けていれば、神経障害、失明や腎不全などの合併症を予防できる病気です。慢性腎不全の場合、生活指導、食事療法、薬物療法を根気よく続けることが必要です。透析が必要になるような腎機能低下速度を止めることは難しいかもしれませんが、自己管理、薬物療法などにより進行を緩やかにすることは可能です。

 

☆腎臓病予防の食事

 腎臓の働きが弱っている場合は、腎臓から排泄させなければならない物質の摂取を制限することが大前提です。

1. 塩分:塩分は腎臓から濾過されて尿中に排泄されます。塩分が多くなると血圧が高くなったり、腎臓に負担が掛かったりしてしまいます。1日の塩分を7〜8gに制限しますが、腎機能が悪くなると、より一層厳しい塩分制限が必要になります。

2.カリウム:カリウムも腎臓から排泄されるミネラルです。カリウムは生体が生きていくために重要な働きをしていますが、腎機能障害が高度になると摂取制限が必要になります。野菜、果物などに多く含まれているので、その制限も必要になります。野菜は茹でて、茹で汁を捨てるとカリウム摂取を少なくすることができます。

3. 蛋白質:蛋白質は利用された後、老廃物として腎臓から尿素窒素、クレアチニン、尿酸などとして排泄されます。腎機能障害の程度が強くなり、血中に老廃物が残留するようになると、老廃物の原料となる蛋白質である肉・魚・卵・豆類などを減らす必要が出てきます。

4. 水分:老廃物を排泄するためには尿量の確保が必要です。通常は利尿のため、お茶、コーヒー、紅茶、ミネラルウオーターなど水分を多めに飲むことが推奨されています。しかし、尿が生成されなくなってむくんでくるような場合は逆に水分制限が必要になってきます。