膵疾患

 膵臓は消化液を分泌して炭水化物、たん白質、脂肪などの消化吸収を助ける外分泌と、インスリンを分泌して血糖値を適正に保つ内分泌の2つの重要な働きをしています。急性膵炎、慢性膵炎や食事療法、薬物療法などを説明してあります。

 

☆急性膵炎

 膵臓は肝臓に比べて悪くなりにくいのですが、いったん悪くなった場合は治り難いのが特徴とされています。急性膵炎は異常に活性化した膵臓の消化酵素が自分の膵臓組織を消化したために起こる急性の炎症です。食事をした時に分泌される消化液が自分の膵臓組織を消化してしまうので背中や上腹部に非常に強い痛みが起こり、結果的に食事ができない状態が続いて、多くの人がうつ状態になってしまいます。アルコール飲み過ぎ、食生活の不節制などが主な原因ですが、胆石や膵嚢胞(のうほう)などで膵管の内圧が上昇して膵液が順調に十二指腸へ流れない場合などもあります。

 急性膵炎の診断は、食後の上腹部痛・背部痛、血中・尿中のアミラーゼなど膵酵素の上昇、腹部エコー、CTスキャン、逆行性膵胆管造影などによります。

 治療のポイントは激しい疼痛を和らげることが第一で、絶食を続けながら水分、電解質、栄養、膵炎治療薬などを点滴に入れます。症状が改善するまで、絶食・絶飲を続け、回復期に入って経口摂取が可能になれば、食事療法と薬物の経口投与に切り替え、再燃を防ぐため食事の注意を続けます。

 重湯などを飲食しても痛みが出ないようなら、さらに蛋白質を追加します。脂質の摂取は慎重にし、日常生活に戻っても3ヶ月間は30g/日を越えないようにします。アルコール性の急性膵炎であれば、少なくとも3年間は断酒が必要です。回復期の治療には食事療法が非常に大切です。膵臓に負担をかけないように、禁酒、低脂肪食にして食べ過ぎを避けるのが根本的治療になります。その上で、胃腸粘膜保護薬と消化酵素薬の服用を続けます。特に、結婚式、パーティー、忘年会などに出かける時には、食べ過ぎ・飲み過ぎをしないように心を引き締めることが肝要です。

 

☆慢性膵炎

 慢性膵炎は血液中にアミラーゼなどの膵酵素の上昇を伴う上腹部痛が時々起り、次第に消化液の分泌障害(外分泌障害)が起こり、インスリン分泌障害(内分泌障害)による糖尿病も併発する難治性の疾患です。

 原因はアルコールが最も多く、胆石などの胆道疾患が原因のこともあります。予防のためには、油もの、食べ過ぎ・飲み過ぎ、食事の時間など注意が必要です。特に注意することは、朝食を抜かないこと、夕食を遅くしないこと、夜食を食べないことなどです。
治療は、原因をなくして病状を改善させ、消化不良や糖尿病などの管理も必要に応じて行います。

 

〇急性再燃の予防

 禁酒が第一です。禁酒をいかに守れるかによって慢性膵炎の予後が左右されます。食事をすることによって疼痛が起こる場合は膵臓の消化液分泌を刺激する食事は避けるべきで、特に1日量として脂肪は30~35g、蛋白質は60~80gの摂取制限が必要です。その他に、塩分、梅干しなど消化液の分泌を促進する食品も避ける必要があります。

 

〇膵疾患予防の食事

 食事は1日3回が原則。食事の時間も規則正しくするようにして下さい。朝ご飯はきちんと食べる、夕食を遅くしないように。空腹時にお腹が鳴るときには、胃腸が動くと同時に、消化液も分泌してしまいます。空腹が長く続くと、ついつい食べ過ぎてしまいますが、膵液や腸液はすでに分泌してしまったので、在庫が少ないのです。そこに、多量の食物がくると、膵臓に余分な残業を強いることになってしまいます。そのため、1日3回の規則正しい食生活が大切です。よく噛んで食べる習慣を身につけて下さい。よく噛むことで、膵臓の働きを労ることができます。会話を楽しみながら食事をすると、気持ちも穏やかになって消化液も充分に分泌されます。アルコールが最大の増悪因子ですから、禁酒が原則です。