自覚症状

自覚症状が起きた時、どんな病気が考えられるかのアドバイスを載せました。御自分やご家族が体調を崩した時に参考にして下さい。

 

☆身体のサイン

・熱がある

 平熱は36.5度程度で、通常は37度以上あれば発熱と考えます。体温の上昇を起こす原因は細菌やウイルスなどが体内に侵入して引き起こされる感染症として扁桃腺炎、上気道炎、インフルエンザ、気管支炎、肺炎、膀胱炎、腎盂炎、感染性腸炎、急性虫垂炎などがあり、まれに脳脊髄膜炎、敗血症という重症な病気もあります。感染症以外の発熱は暑い季節では、乳幼児や高齢者の熱中症や脱水症も考える必要がありますが、脳腫瘍、脳出血などの中枢神経性発熱、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの膠原病、がん、悪性リンパ腫、白血病などによる場合もあります。
 感染症による高熱には通常解熱薬を用います。子供の発熱などに解熱薬を使わないで冷やすだけという考えもあるようですが、大人でも発熱は体力を消耗しますし、乳幼児の場合は熱性痙攣などを起こすこともあるので私は解熱薬の使用を勧めます。
発熱が続いて原因がはっきりしない場合は小児科、内科を受診して下さい。

 

・疲れやだるさがある

 疲れやだるさは日常誰でも経験するもので、自覚症状の強さには個人差が見られますが、栄養のバランスをとって休養していれば、たいていは数日のうちに回復するものです。しかし、それが続くようなら、やはり体のどこかに異常があるかもしれません。
 慢性の病気では肝炎や肝硬変などの肝臓の病気、子宮筋腫、胃・十二指腸潰瘍、大腸がんなどからの出血による高度の貧血、急に喉の渇きや尿量の増加がみられる糖尿病、野菜不足による低カリウム血症、甲状腺疾患、肺結核再発などの他に、がん、白血病、悪性リンパ腫などの悪性疾患などがあります。慢性の疲労以外にも、低血圧、加齢、精神的ストレス、不眠症なども考えられます。
症状が続くようなら内科を受診して下さい。

 

・浮腫みがある

 浮腫みは身体の細胞や組織の間に水が溜まることによって起こります。主な原因としては腎臓病、心不全、肝硬変、薬剤性などがあります。
腎臓で水分や老廃物を尿として充分に排泄できないときには全身、特に目のあたりが浮腫むことが多いようです。

 血液の循環を調節している心臓の働きが低下し、毛細血管の血液が正常に心臓に戻れない場合に毛細血管の圧が上昇して血管内の水分が外に滲み出て浮腫みが起こり、特に下肢の浮腫みが目立つようになります。下肢の静脈には逆流止めの弁が所々にあるので、つま先を上げて歩くと腓腹筋(ひらめ筋)が収縮して足の静脈をしごくので、静脈内の血液が心臓に戻りやすくなり浮腫みを減らすことが出来ます。

 尿中にたん白質がたくさん漏れて血液中のたん白質が低下してしまうネフローゼ症候群や肝臓でたん白質を作れなくなってしまう肝硬変などでは血液中のアルブミン(たん白質の成分)の濃度が低下し、全身の浮腫みが起きてきます。
 症状が続く場合は内科を受診して下さい。

 

・熱中症

 非常に暑い環境で仕事をしている人や、運動などによって体の中で大量の熱量を発生するような状況の人が身体の適応障害を起こしてしまった状態です。高齢者、幼児、暑熱環境での労働者、スポーツ活動中の人などに起こることが多いようです。体温が上昇することによって起こる様々な体の不調で、屋内・屋外を問わず高温や多湿等が原因となって起こりますが、年々増加傾向にあります。その背景の一つとして最近の異常気象やコンクリートなどで密閉されて風が通らない建物構造になっていることも挙げられます。めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、体温の高度の上昇、異常な発汗、または汗が出なくなる、乏尿などの症状がでます。

 熱中症予防のためには喉の渇きを自覚しなくても、少しずつ水分補給をすることです。水分補給と適度な塩分補給が必要ですが、夏は汗からカリウムも喪失してしまいますから、野菜、果物の補給も大切です。カリウムが足りなくなると、身体がだるくなったり、脈が乱れたり、こむら返りが起きたりしてしまいます。

 熱中症と気づいた 場合は早めに受診して点滴を受けると早く回復します。

 

 

☆中枢神経系

・頭 痛

 頭痛には主に筋緊張性頭痛、片頭痛、群発性頭痛などがあり、稀にくも膜下出血、脳出血により頭痛が起こることもあります。
筋緊張性頭痛は机に座って仕事をしている人に多いのですが、夢中で仕事をしている間に徐々に頭が前屈みになるため、頭を正常位置に戻そうとして後頭部や肩の筋肉が緊張してしまい、後頭部の筋肉痛や肩こりから起こることが多いようです。その予防には椅子に座るときに深く座って姿勢を正し、頭の重心が脊柱の上に乗るようにすることです。

 女性に多い片頭痛は内頸動脈系の血管が中を流れる血液の量に伴って収縮・拡張するために、脈拍と同じリズムで頭の片側がズキンズキンと痛むもので、頭痛の前にチカチカと光が見える場合があります。女性に多く遺伝傾向が見られ、発作の原因として女性ホルモンとセロトニンとの関係などが考えられています。

 その他の頭痛の原因は、脳腫瘍、脳出血などでは頭蓋骨内の圧が高くなってくることも挙げられます。髄膜炎やくも膜下出血などでは、髄膜刺激症状として起こります。

 突然に激しい頭痛が起きた場合はくも膜下出血の可能性がありますから速やかに救急車で脳外科病院へ運んでもらって下さい。

 

・頭部外傷

 交通事故や墜落事故などの場合に重要なことは、受傷者が脳の損傷を受けているかどうかで、損傷を受けている場合は頭痛、嘔吐、運動麻痺、知覚障害、言語障害などから始まり、進行すると意識消失、けいれん発作などが出現し、放置しておけば最終的には死に至ります。大声で呼んだり、抓(つね)ったりしても何の反応がなければ、意識がないと判断します。液体(脳脊髄液)が耳や鼻などから流れ出る場合は頭蓋底が骨折していることを示していますから、生命の危機が迫っています。頭部外傷の場合は頚椎も損傷している可能性もあるので、受傷者を不用意に動かさないように注意して下さい。嘔吐しそうになったら、すぐに顔を横に向けて、吐物が咽喉に詰らないようにする必要があります。意識がはっきりしていて、手足の運動・知覚、頚部の痛みなどを確認し、問題がなければそのまま経過を見ますが、異常な所見がある場合は、動かさないですぐに救急車を呼んで下さい。

 中高齢者の場合は硬膜下血腫が起こることがあります。頭蓋骨にひびが入り、頭蓋骨の内側を走っている血管が破れて硬膜下に徐々に血腫が出来て脳を圧迫することによって比較的急速に認知障害などの症状が出てくるのですが、本人は頭を打ったことを覚えていないこともあるので、CTスキャンなどで確認をする必要があります。硬膜下血腫は頭蓋骨に小さな穴を開けて血液の塊を吸引すると脳の圧迫がなくなって神経症状が改善します。

 

・痙 攣(けいれん)

 痙攣とは、筋肉が急激に自分の意志とは関係なく不随意に収縮する発作のことをいい、全身または一部の筋肉に起こります。てんかん発作の場合は四肢の筋肉が発作的に急激な収縮を繰り返して意識障害を伴うことが多いため、救急車を呼ぶ必要があります。以前は、舌を噛み切るといけないのでと喰いしばっている歯の間に割り箸などを入れることがありましたが、舌も痙攣して咽喉の奥に引き込んでいるので噛み切る心配はありません。てんかん発作のすべてが痙攣を起こすわけではなく、意識を失うが痙攣はみられない欠神発作や、精神運動発作と呼ばれるてんかんもあります。

 てんかん性の痙攣を起こす原因により、原因となる疾患が存在する症候性てんかんと、てんかんの原因となる疾患が存在しない真性てんかんとに分けられます。症候性てんかんの原因には、脳腫瘍、脳血管障害、頭部外傷による脳損傷、脳炎、髄膜炎などの他、低血糖や電解質異常、薬物中毒などがあります。

 てんかんでは抗けいれん薬を長期間服用し続ける必要があり、服用を自分の都合で中止していると突然前触れもなく発作が起きてしまうことがあります。日常生活では車の運転をしない、駅のホームや交差点などでは先頭に立たないなどの注意が必要です。

 けいれんしている人を見かけたら、救急車を要請して下さい。

 

☆呼吸器系

・喀 血(かっけつ)

 血を吐いた時には吐血と喀血の区別が必要です。吐血は消化器系疾患で嘔吐した時に食べた物と一緒に出てきてどす黒い色をしていることが多いのですが、喀血は呼吸器疾患で咳と共に喀出され、多くは鮮やかな紅色をして気泡が見られるのも特徴です。肺結核、気管支拡張症、肺がんなど、呼吸器系の疾患によるものです。喀血の場合も吐血と同じように、横を向くなどして上手に呼吸をしていないと、血液が肺の中に入ってしまい、呼吸困難を起こし、窒息死を招くことがあります。

 喀血の場合は痰の検査の他に胸部X線検査、CTスキャン検査、気管支鏡などで出血源の場所や病変の程度などを確認して、その治療をしますから、呼吸器内科を受診して下さい。

 

・咳・痰

 咳は気管に入ろうとする異物や気管内に生じた分泌物などを排出する大事な役割を果たしています。咳には痰を伴わない乾いた咳と、痰が絡む湿った咳があります。乾いた咳は咳止めの薬を処方しても良いのですが、湿った咳の場合は痰を出しやすくする痰切りの薬にします。痰が絡む咳を止めてしまうと、痰が排泄されずに感染症が長引くおそれがあるからです。

 高齢者や脳卒中後遺症などでは食べ物や飲み物が間違えて肺に入って誤嚥性肺炎を起こして致命的になることもありますから、食事を介護する場合は起き上がらせて食べさせる、とろみのある食事を作るなどの心配りが必要です。

 空気が汚れている作業環境で仕事をしなければならない場合は、汚れた空気を吸い取る空気清浄器を作動させる、防塵マスクを使うなどの作業環境対策が必要です。個人的にはペットボトルなどの水で嗽をし、その後何度かに分けて水を飲み込むと口腔内だけでなく、奥の方の咽頭も水洗いされてきれいになりますし、飲み込んだ汚れの処理は胃酸が受け持ってくれます。

 症状が続く場合は呼吸器内科を受診して下さい。

 

・呼吸困難

激しい運動や興奮した時などは健康な人でも息切れや呼吸困難を感じます。しかし、心臓弁膜症、うっ血性心不全、心筋梗塞、心筋症などの心臓系の病気や気管支喘息、気管支炎、肺炎、誤嚥性肺炎、肺梗塞、肺水腫、自然気胸、COPD、肺がんなどの呼吸器系の病気などがあると、安静にしているときでも呼吸が苦しくなります。その他に尿毒症、薬剤性アレルギー、過呼吸症候群などもあります。
症状が続く場合は内科受診をしてください。 

 

☆循環器系

・動悸、不整脈

 激しい運動をした時や、緊張やストレスがあったりすると健康な人でも動悸が激しくなりますが、通常は時間が経つと治まるものです。しかし、運動をしていないのに動悸を感じる時は、心臓に何らかの異常がある場合が多いので注意が必要です。脈の打ち方が時々不規則になる期外収縮と、脈が速くなったり遅くなったりしていつも脈が乱れる心房細動などがあります。

 心房細動の場合、心房が定期的に収縮しないで漣(さざ波)のようにうごめいているだけなので心房中で血液がよどんで血の塊を作りやすくなり、その塊が脳の動脈に詰ると脳塞栓を起こしてしまいますから、不整脈を治す薬、電気刺激、カテーテルアブレーションなどの方法で心房細動を治すのが得策ですから、循環器専門病院で相談して下さい。心房細動が治らない場合は血液が固まり難くするワーファリンなどの薬を服用し続ける必要があります。

 心臓の拍動が20~30秒も止まったりして意識が無くなって倒れてしまうアダムス・ストーク症候群の場合や、脈拍数が1分間40以下と非常に遅くて体を動かす時に、強い息切れを感じる場合は脈が遅くなりすぎて、心不全を起こしている可能性があり、生命に危険があるためペースメーカーを体内に装着する必要がありますから、循環器内科で相談して下さい。

 

・胸 痛(きょうつう)

 胸の痛みは心臓や肺、大動脈疾患の症状であることが多く、重大な病気の可能性が高いので、速やかに医師の診察を受けることが必要です。主な病気は狭心症、心筋梗塞、解離性大動脈瘤などの循環器の病気、肺炎、気管支炎、自然気胸、肋膜炎、肺梗塞などの呼吸器の病気、肋間神経痛、皮膚神経疾患である帯状疱疹などがあります。その他、食道潰瘍、逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、急性膵炎、胆のう炎などの消化器系疾患でも、胸痛として感じることがしばしばあります。

 脂が多い食事が続いていると血液中の脂質が徐々に増え、血液がギトギトしてしまい、細い血管に流れにくくなるので狭心症や心筋梗塞を起こしやすいのです。心臓カテーテル検査をし、細くなっている冠動脈が見つかった場合はその部分をバルーン(風船)で拡げ、ステント(蛇腹)を入れると心臓の血流が確保されるため症状がかなり軽減されます。
夜中に胸が突然痛くなった場合は、狭心症、心筋梗塞の可能性が高いので、手元にニトログリセリンの舌下錠などがあったらすぐに口に含んで、それでも強い痛みが改善しない場合は、救急車を呼んで循環器専門病院へ搬送してもらって下さい。

 

☆消化器系

・腹 痛

 腹部には胃・十二指腸、小腸、大腸などの消化管や肝臓・胆嚢・膵臓、腎臓などの臓器があります。胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などは食後や空腹時など食事との関係が深いことが多く、胆石、尿管結石などは突然激しい疼痛が起こり、蹲って動けなくなってしまいます。お酒を飲む機会が多く、脂っこい食事や肉が続いている場合に、お腹から背中にかけて違和感があって痛い場合は急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がんなどの病気の可能性もあります。また、発熱とともに右下腹部痛が起きた場合は虫垂炎や腹膜炎などを疑います。お腹をゆっくりと圧迫してからさっと手を離し、圧迫した時よりも離す時の痛みが強く、お腹全体に響く場合は腹膜炎の可能性があります。

 激痛を伴う急性腹症は緊急手術を含め、早急な診察と治療が必要になりますから、救急車を呼んで消化器専門病院へ運んでもらって下さい。

 

・嘔気(おうき)、嘔吐(おうと)

 吐き気や嘔吐は多くの場合、胃炎、食中毒、十二指腸潰瘍、幽門狭窄、胃がん、感染性腸炎、腸閉塞などの消化管疾患、肝炎や胆嚢炎などの肝臓や胆嚢疾患などが原因になります。嘔吐しているうちに胃の粘膜に傷が出来て血を吐くこともあります。病気でなくても精神的ストレス、乗り物酔い、薬の副作用などもあり、その他に、脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍などで脳圧が高くなって激しい頭痛を伴って起こることもあります。

 1日3回、飲み過ぎ・食べ過ぎをしないで規則正しい食事をする、暖かくて消化が良いものを食べるなどを心掛けても改善しない場合は検査を受けることが必要です。しかし、妊娠の可能性がある女性の場合はつわりの可能性もありますから、レントゲン検査を受けたり服薬をしたりする前に妊娠の検査も考えて下さい。

 症状が続く場合は消化器内科を受診して下さい。

 

・吐 血(とけつ)

 吐血は嘔吐の時にどす黒い血を吐いた状態で、食道・胃・十二指腸からの出血の可能性があります。食道静脈瘤からの出血は肝硬変の合併症として認められます。吐血の原因として胃潰瘍や十二指腸潰瘍が最も多く、疼痛、発熱の治療や血栓予防などの目的で服用しているアスピリンなどの副作用の場合もあります。上部消化管出血が疑われれば、内視鏡検査で診断し、出血部位に対してクリップなどの方法を用いた内視鏡的止血術を行ったり、止血薬を投与したりします。アルコール多飲や肝炎ウイルスなどによって肝硬変になってしまうと、食道や胃の静脈圧が高くなってきて食道静脈瘤が形成されますが、大きくなると破裂します。
救急車を要請して下さい。

 

・食中毒

 食品、添加物などによって中毒した患者を食中毒患者としています。コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフスなどによる経口感染症は病原性が強く、人から人への感染が起きます。
ノロウイルス感染症は生牡蠣などが感染源のことが多いです。見た目ではウイルスを含んでいるかどうかは分かりませんから、生牡蠣を食べないのが感染予防の上策です。どうしても牡蠣を食べたいときは、中心温度が75度、3分以上加熱されたものを食べるのが安全です。牡蠣の中心部がジューシーな状態ではウイルスが生きている可能性があります。主な症状は,腹痛の他に、激しい嘔吐と水様性の下痢です。食中毒の基本的な予防策は、食前、調理前や生ものを扱った後に手を洗うこと、しっかり加熱すること、できるだけ早く食べること、食器使用後はすぐに洗浄し、スポンジは熱湯消毒し乾燥させることなどです。

 自然毒によるものはジャガイモの芽、毒キノコ、トリカブト、ふぐ毒、貝毒、化学物質では農薬などがあります。
 吐物や便などに含まれているウイルスが感染源になることもありますから、後片付けなどをする時なども自分が感染しないように注意が必要です。

 症状が続く場合は消化器内科を受診して下さい

 

・下 血

 下血は食道・胃・十二指腸などの上部消化管だけでなく、小腸や大腸などの下部消化管も含めた全領域の消化管のいずれかからでも出血した場合に認められ、血液が肛門から排出されることをいいます。胃からの出血の場合は胃酸によって血液がコールタール様の真黒色に変化するため、下血をタール便ともいいます。しかし、出血量や出血する場所によって血液の性状が変化し、肛門に近い直腸やS状結腸からの出血では、新鮮血になったり、便の周囲に鮮血が付着したりすることがあります。痔からの出血は鮮血です。これらは血便と言い、血便は鮮血便と炎症による粘液を混じた粘血便に分けられます。

 下血の原因となる病気は主に胃潰瘍などの上部消化管疾患、大腸ポリープ、大腸がん、大腸憩室、虚血性腸炎、薬剤性腸炎、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、痔核などです。これらの病気は吐血や下血が主な症状で、貧血によるふらつきや息切れなども起こりますが、大量出血時にはショックを起こしたり、重篤になったりすることもあります。症状は出血源、出血速度や併存疾患の有無により変わります。少量ずつ時間をかけて出血しているときは慢性の貧血が続きますが自覚症状が少ないことが多いようです。

 大量下血で一般状態が悪い場合は、点滴や輸血で体力回復を図り、出血の原因を調べ、それぞれの疾患にあった治療を行います。

 なるべく早くに消化器内科を受診し、大腸鏡検査などを受けて下さい。

 

・腸閉塞(ちょうへいそく)

 口から摂取した飲食物は、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸を通って消化・吸収され、便となって肛門から排泄されます。これらの食べ物や消化液の流れが小腸や大腸で滞った状態が腸閉塞です。腸が拡張して張ってくるため、おなかが張って痛くなり、肛門の方向へ進めなくなった胃や腸の内容物が口の方向に逆流して吐き気を催し、嘔吐したりします。

 開腹手術を受けた後、腸と腹壁、腸同士の癒着、ヘルニア、腸捻転を起こすことがあります。腸に酸素や栄養分を送る血管が入った腸間膜が捻じれたりして血流障害を起こす場合は絞扼(こうやく)性腸閉塞と呼ばれ、この腸閉塞は腸管が壊死してしまうため、早期に手術を行わないと死に至ります。また、大腸がんによる閉塞があり、高齢者で便秘傾向の人では硬くなった便自体も腸閉塞の原因になります。大多数は手術をしないで、点滴などの保存療法で改善します。

 開腹手術後の癒着による腸閉塞再発予防のためにはいつも腹八分目にする、お腹を冷やさない、冷たい物の飲食をなるべく避ける、烏賊素麺、コンニャク、海苔など塊を作りやすい食品を避ける、軟らかい消化の良いものにする、刻み食にするなどの工夫は必要です。
症状が強くなりそうな場合は、消化器内科を受診して下さい。

 

☆肝臓系

・黄 疸(おうだん)

 黄疸は肝臓で作られるビリルビンと言う黄色い色素が血液中に増加して現れる症状で、最初は眼球の白目の部分が黄色くなり、そのうちに皮膚が黄色になります。全身がだるい、痒い、食欲が無い、眠れない等の症状が出るようになります。原因としてはウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、肝硬変、肝臓がんなどのように肝臓の細胞が壊れて起きる病気、胆石、胆のう炎、胆管がん、膵臓がんなどのように胆汁が胆管から十二指腸へ流れにくくなる病気の他に、溶血性貧血など赤血球が壊れて起きる病気もあり、それぞれの病気によって治療法も治り方も違います。黄疸にならないようにするには規則正しい食生活を続け、過度の飲酒を避けることなどが必要条件でしょう。
 胆管がん、胆のうがん、膵臓がんなどで急速に胆管が閉塞する場合は緊急処置が必要になりますから、消化器専門病院を受診する必要があります。

 

☆泌尿器科系

・排尿困難と尿閉(にょうへい)

 排尿困難とは尿意を感じて排尿を試みるけれど,排尿開始までに時間を要したり腹圧を加える必要があったりする状態をいいます。尿閉とは膀胱内に尿が多量に貯留し,尿意があるにもかかわらず排尿できない状態をいい、膀胱容量の増大とともに恥骨上部の疼痛,強度の不安感が生じ冷汗をかきますが、急性期の症状は前立腺肥大症がある人が多量に飲酒した場合、前立腺や尿道がむくんだり、尿道排尿筋が活動低下したりして症状が強くなることがあります。また、抗ヒスタミン薬を含む総合感冒薬を服用して起こる場合がありますから、前立腺肥大の人は風邪薬を処方してもらうときに確認してください。慢性の場合は徐々に残尿が多くなって膀胱は尿が充満した状態になり、放置していると上部尿路内圧が上昇し、腎孟が拡張し腎不全に陥る場合があります。
 尿閉では尿意があるのに排尿できないことによる苦痛,不安,緊張などにより,頻脈、血圧上昇などがみられます。また,尿の膀胱内停留により腎盂腎炎を併発している場合は発熱や腰痛が認められます。
 症状が続いて日常生活に支障をきたすような場合は泌尿器科に相談して下さい。